水戸地方裁判所 昭和62年(わ)66号 判決 1987年6月18日
本籍
茨城県鹿島郡神栖町大字居切一、六五六番地
住居
茨城県鹿島郡神栖町大字居切一、七〇五番地
会社役員
秋山武久
昭和二三年一二月二七日生
右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官大鶴基成及び三嶋利美各出席の上審理して、次のとおり判決する。
主文
被告人を懲役一年八月及び罰金三、五〇〇万円に処する。
右罰金を完納することができないときは、金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
訴訟費用は被告人の負担とする。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、いわゆるポーカーゲーム喫茶店の経営、ポーカーゲーム機械のリース業等をしていたものであるが、所得税を免れようと企て、売上げの除外などの方法により所得を秘匿した上、
第一 昭和五八年三月一五日、茨城県行方郡潮来町大字延方字三カト前甲一、三五八番地所在の潮来税務署において、同税務署長に対し、昭和五七年度分の実際所得金額が二、〇一七万一、〇二九円であったにもかかわらず、その所得金額が四八九万三、〇三五円でこれに対する所得税額が六万四、五〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同年度分の正規の所得税額が六二四万五〇〇円との差額六一七万六、〇〇〇円を免れ、
第二 昭和五九年三月五日、前記潮来税務署において、同税務署長に対し、昭和五八年度分の実際所得金額が五、八八五万九、九三九円であったにもかかわらず、その所得金額が七二二万三、五八三円で、これに対する所得税額が五二万九〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同年度分の正規の所得税額が二、九五六万二、〇〇〇円との差額二、九〇四万一、一〇〇円を免れ、
第三 昭和六〇年三月九日、前記潮来税務署において、同税務署長に対し、昭和五九年度分の実際所得金額が一億三、七八〇万七、九〇七円であったにもかかわらず、その所得金額が一、一〇五万六、一三八円で、これに対する所得税額が一二八万二、三〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同年度分の正規の所得税額八、二五三万二、五〇〇円との差額八、一二五万二〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示事実全部につき
一 被告人の
(1) 当公判廷における供述
(2) 検察官に対する供述調書二通
一 伊藤義克、宮内實(三通)、鈴木文男(八通)、牧野一磨、遠藤正美、国分博、小堀正俊、杉野英雄の検察官に対する各供述調書の謄本
一 大蔵事務官五味渕博作成の収入金調査書二通、開店時損失調査書、修繕費調査書、減価償却費調査書二通、繰延資産の償却費調査書、自動車関係費調査書、口座管理料調査書、固定資産除却損調査書二通、支払利息調査書、短期譲渡所得調査書
一 大蔵事務官塚原彰作成の事業主借調査書
一 潮来税務署長有賀徹夫作成の証明書
一 検察事務官宇野公博作成の電話聴取書の謄本
判示第一の事実につき
一 大蔵事務官五味渕博作成の修正損益計算書(自昭和五七年一月一日至昭和五七年一二月三一日のもの)、脱税額計算書(自昭和五七年一月一日至昭和五七年一二月三一日のもの)、昭和五七年分所得税査察更正決議書
判示第二の事実につき
一 大蔵事務官五味渕博作成の修正損益計算書(自昭和五八年一月一日至昭和五八年一二月三一日のもの)、脱税額計算書(自昭和五八年一月一日至昭和五八年一二月三一日のもの)、昭和五八年分所得税査察更正決議書
判示第三の事実につき
一 大蔵事務官五味渕博作成の修正損益計算書(自昭和五九年一月一日至昭和五九年一二月三一日のもの)、脱税額計算書(自昭和五九年一月一日至昭和五九年一二月三一日のもの)、昭和五九年分所得税査察更正決議書
(法令の適用)
被告人の判示第一ないし第三の各所為はいずれも所得税法二三八条一項に該当するところ、情状により同条二項を適用して各所定刑中いずれも懲役刑と罰金刑とを併科することとし、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、懲役刑については同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をし、罰金刑については同法四八条二項により判示各罪所定の罰金額を合算し、その刑期及び金額の範囲内で被告人を懲役一年八月及び罰金三、五〇〇万円に処し、右罰金を完納することができないときは、同法一八条により金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置することとし、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予し、訴訟費用については、刑事訴訟法一八一条一項本文によりこれを被告人に負担させることとする。
そこで、主文のとおり判決する。
(裁判官 鈴木秀夫)